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ホールケーキの経験値稼ぎその3(パーツ別練習編)

(21/7/18 クリームを絞る練習の項目に追加)
今回がいよいよシリーズの本命の話題。
時間も費用も食べる量もかさむホールケーキの練習を、少しでもやりやすくする方法の紹介。
ホールケーキは、普段作るお菓子の技術の集大成。
そういうわけで、今回は必要なスキルを1つずつ分解する作業と、
1スキルずつ練習するアイデアの紹介をする。


★必要スキルの分解
それぞれのお菓子に必要なスキルを一覧にした。
一部、市販品の購入で代用できるものは赤字で「※なくてもOK」と書いてある。
サイズにこだわらなければ、大体どのお菓子もスポンジやタルト部分は入手可能。
スポンジ以外は大きいサイズが少ないので、製菓材料店の通販を利用しよう。

ショートケーキの必要スキル
・スポンジケーキを焼く技術※なくてもOK
・スポンジケーキを水平に切る技術※なくてもOK
・生クリームを塗る技術※ネイキッドケーキならほぼ不要
・生クリームを絞る技術
・バランスよく飾る技術

モンブラン
・スポンジケーキを焼く技術※なくてもOK
・スポンジケーキを水平に切る技術※なくてもOK
・生クリームを塗る技術
・モンブランクリームを絞る技術

ムースケーキ
・スポンジケーキを焼く技術※なくてもOK
・スポンジケーキを水平に切る技術※なくてもOK
・ムースを作る技術
・バランスよく飾る技術

フルーツタルト
・クッキー生地を作る技術※なくてもOK
・タルトを焼く技術※なくてもOK
・クリームを作る技術
・クリームを絞る技術
・バランスよく飾る技術

ベイクドチーズケーキ
・底生地を敷き詰める技術※なくてもOK
・チーズ生地のケーキを焼く技術

いっぺんに全部こなそうとすると大変なので、まずちゃんと作れる自信のないパーツを洗い出す。
苦手な部分をはっきりさせれば、練習が必要な部分もわかる
練習が必要な部分が分かったら、1つずつスキルアップのために練習していく。
そうすれば、集大成であるホールケーキもうまくいく確率が上がってくるだろう。
雑魚敵で経験値稼ぎして、ボス敵を倒すノリ。

ホールケーキの経験値稼ぎその3(パーツ別練習編)_d0394836_23333699.jpg
写真は、全てホールケーキの練習になるお菓子達。
左上から12cmのスポンジケーキ、黒豆モンブラン、型抜きクッキー、グラス入りムース。
これら1つ1つの日頃のお菓子で稼いだ経験値が、ホールケーキを作るという大勝負で生きてくる。
まあ、だから今回のシリーズがこういう名前にもなったんだけど。


★練習の仕方(共通)
基本的に、成功するまでは小さいサイズを勧める。
スポンジケーキ型やタルト型なら12cm、
ムースならグラス、チーズケーキ系はマフィン型でもいいだろう。
モンブランなら、よく見る小さいカップやばら売りサイズで。
失敗作が大量に出ると消費するのもつらい。

練習を始める時期は、何度か練習できる時間があるうちが妥当。
例えば1ヶ月後に誕生日ケーキを作るなら、もうそろそろ始めておこう。
慣れている人なら、やっても直前に一回位でいいと思う。
あくまで勘を戻す感じなので、毎月作る人ならそれすら要らないだろう。


◆材料選び
全然成功した事がないなら失敗して惜しくない材料でもいいが、
本番の材料で練習をするに越した事はない。

食材は、味だけではなく使い心地の個性も豊か。
例えば「特宝笠」のように、特殊な製粉技術を売りにするようなタイプの小麦粉は、
混ぜ加減や手応えも身近な薄力粉(フラワー・ハートなど)と違ってくる。
本番で使いたい材料は、練習でも使っておこう。
クリームも動物性と植物性、脂肪分のパーセントでも性質が違う。
こちらもパーセント位は揃えておかないと、想定外の勝手の違いで慌てる羽目になりかねない。


★練習の仕方(個別)
ここでは具体的な作業のコツではなく、
練習で作るならこれ位の量がいいとか、練習方法としてこういうやり方があるという紹介が中心。
練習方法も色々な人が色々な意見を出していると思うので
ここにあるやり方はあくまで一例として見てもらえれば幸い。


◆スポンジケーキの練習
12cm型を買っておくと、卵1~1.5個で練習できる。
小麦粉も30g程度で、ちょっとしか使わない。
材料費が安いので、自信がないならガンガン練習して慣れておこう。
食べてくれる人の当てに困らないなら、15cmで練習しても良い。こちらは卵2個。

コツが知りたい人は下記リンクへ。パート別の動画がたくさん載っている。
温度や混ぜ具合など、注意点が多いお菓子なので、事前に全工程分のポイントを読んでおくとはかどる。



練習台の消費案
植物性のクリームを買って、生クリームを塗ったり絞ったりする練習するもよし。
それが面倒なら、下のような余り物消費レシピが良い。
スポンジケーキを消費するレシピなら全般使える。
ラスクやトライフル辺りがお手軽。



ちなみにスライスの練習だが、
ガイド(アクリルルーラー・角材・補助具)を使って、包丁を水平移動させて切るのが一番綺麗。
爪楊枝を使ったり色々やったが、さっさと道具を買ってしまった方がいい。
特に角材(工作材)は、色々な厚みを買いそろえてもかなり安い。
ケーキ用なら長さ45cmあればいいので、90cmを1本買って半分にすればOK。
水平に切れないとクリームを塗ったり挟んだりするのもうまくいかないので、
スライスはさりげなく大事なポイント。

ここは道具に依存する部分が多いので、あらかじめ使いやすい道具を持っているか確認しよう。


◆タルトの練習
生地に慣れるなら、タルトの配合で型抜きクッキーを作る手がある。
元々タルトの余り生地をそうやって利用するので、
生地を均一な厚みに伸ばし、扱いやすい硬さを保つ練習には十分。
逆に言えば、すでに型抜きクッキー生地に慣れている人ならそんなに苦労しないと思う。

クッキー生地は、バターを溶かしたり生地が冷えるのを待たずに焦ったりが良くない。
タルトも生地作りが悪いと割れるなどのトラブルが出るので、その辺のトラブル対策は応用できる。

ただし型に綺麗に敷くのは別の技術。
型抜きクッキー経験者かつタルト未経験なら、そこは練習するといいだろう。
クッキーと違い、大きいままの生地を扱うテクも必要になる。



◆ムースの練習
ゼラチンを入れるタイプのカップムースで練習。
フルーツムースの練習であれば、ジュース+植物性クリームが最も安い。
生地作りに慣れたら、後は流す型が大きくなるだけの話になるので大丈夫。

生クリームの泡立て具合は、六分~八分立てまでと幅があるが、
指示があいまいで加減に悩んだら七分立て(ケーキのナッペが出来るゆるさ)で試すのが無難。
個人的な話だが、サラサラのフルーツピューレに六分立てのクリームを合わせたら、
完成したムース生地が緩くて漏れた事がある。

混ぜるのに最適なピューレの状態を、とろみ具合ではなく「室温程度で」と指示しているレシピの例。
ちなみに、最大3回に分けて入れている。混ぜる時に2回で分離する場合、次回は3回にしてみよう。


◆ベイクドチーズケーキの練習
チーズをたくさん使うので、12cmまたはマフィン型サイズで練習。
本番前に、1回本番サイズで作っておくと盤石。
とはいえスフレタイプと違って難易度は低いので、怖がり過ぎなくてもいいと思う。
自分のオーブンの癖を知っているなら、ぶっつけ本番でも困らない気もする。

難易度が低い一方で、何種類か作って比較したりしたい人には、
チーズ代の高さと節約しにくさが悩ましい。極端に安いチーズがあまりおいしくないのもその理由。

簡単とはいえあまり舐めプが過ぎると失敗するので、練習前に注意点を押さえておくとはかどる。
とりあえず、冷たいままの材料で作ろうとすると失敗フラグがビンビンになるそうだ。


ワンランク上になりたい人は、土台から手作りするこういう記事を読んでみるのもいいだろう。



◆クリームを塗る練習
ケーキ本体に関わる技術だと、これが一、二を争う位に難しいかも知れない。
クリーム1パックで済ませたいなら、
12cmスポンジケーキを焼くか市販のスポンジをそのサイズにくりぬくか。
クリームが温まってダレた……という事故さえ起こさなければOK位に、
自分に甘くていいんじゃないだろうか。

それでもやり込みたいならこの辺。
パティシエの卵も御用達の、泡立てたショートニング特訓。
何度も使い回す前提なので、ショートニングの再利用は考えない方がいいだろう。



◆クリームを絞る練習
何かの拍子に生クリームが余った時、隙あらば泡立てて絞っていくのが手っ取り早い。
クリームの種類や硬さ、口金の形、絞り方と、難易度に影響する要素は多い。
モンブランクリーム、特に栗は一番固めで高難易度。絞りそのものより、絞る前の固さ調整が難物。
本番でもボウルの中で試し絞りをして確認しよう。

ちなみにリンク先にある練習台は、生クリーム・バタークリーム・マヨネーズ・マッシュポテトの素。
マッシュポテトの素は、硬めに調整すればモンブランの代わりになるらしい。
でんぷん仲間ではあるので、試してもいいかもしれない。


モンブランの場合はこちらの動画が参考になる。大きいとこうなるというお手本。
参考→ホールケーキにモンブラン絞りをするときのポイント

◆余談・スフレチーズケーキの場合
適した焼き方が、オーブンの加熱方式で変わってくるので要注意。
上下ヒーター式かコンベクション式かで、温度調整が別物になる。
試作の前にそこを調べないと「レシピ通りなのに全然うまく焼けない」となる。

◆デコレーションの練習
これは手を動かす練習以上に、事前の資料集めが物を言う。
やってみたいデザインの写真を日頃から集めて、スマホやパソコンに保存しておこう。
特にイチゴがない季節に作るケーキのデコレーションの場合、
何が飾りに使えるかは事前に調べるとはかどる。
果物の飾り切りがしたいなら、日頃のデザートを実験台にする。



ちなみに、チョコ細工は夏は柔らかくなって不向き。
買ったプレートを載せる位が妥当。


今回はこんな感じで終了。
次回は材料や道具、またはレシピ選びの参考になりそうな情報(レビューみたいなもの)辺りで検討中。



  


by guruti-0 | 2021-06-28 23:58 | シリーズ記事 | Comments(0)

食欲の権化兼凝り性によるお菓子とパン作りの記録


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